5、調理師学校入学


職種選択理由から飲食業界を選んだ訳でありますが、自分でも「手堅いなあ」と思ってしまいますね。「人間は食べ物なくては生きていけない」だから、どんなに経済が悪くても、食べ物業界は最後の最後まで人間と関わり合うのではないだろうか?逆に言うと飲食業界がバタバタ潰れていく時は日本という国自体が破綻し、銀行がバタバタ破綻するに等しいと過言ではないのです。そして実際ファミリーレストランで働き調理師学校へ行く決意をした訳です。調理師学校は入試は無く、願書のみでその代わり卒業試験はあります。卒業試験に合格したら調理師免許の手続きが出来る卒業証明書がもらえるのです。1年間の学習期間で、卒業試験は学科と実技があります。さて、話は入学式に戻り、入学式の舞台で『包丁式』というものを拝見させて頂きました。日本刀のような長い包丁を右手、左手1本ずつ持ち、魚を裁く儀式。なかなかお目にすることが出来ない正しく日本の文化ですね。感動致しました。そして調理師学校生活の1年間が始まる訳であるのですが、実技の教科は、和食、洋食、中華の3種類必修科目として習い、学科は、食品学、食品衛生学、調理理論、社会学、などがありましたね。実技(実習)は楽しかったですね。その反面学科の方は飲食業界の重みを学んだ気が致します。何事も初めて経験する物事は新鮮味があって楽しい物なのですが、勘違いしやすいのは、本物の~、本場の~、さすがプロの~、というものは全て憧れという殻に包まれている証拠で、現実の~、にいつ気付くかが一人前の職人の入り口である訳です。勿論、私も憧れから洋食業界に今後卒業後入社した訳ですが、フランス料理は格好いいなあが、最初のきっかけです。実技に関しまして印象に残っているのは、洋食ではソール(舌平目)のムニエル、和食は、大きな平目の5枚卸し(ヒラメの天然と養殖の見分け方、ヒラメの裏側が真っ白のものは天然、少しでも緑色のシミが混じっている物は養殖)は勉強になり、中華は、非常勤講師にしばしば陳健一先生(中華の鉄人の)がいらして、チャーハンの実習の授業が終わった後、私が先生の元へ行き「味見させてください」「食べてもいいよ」「ありがとうございます」と言い、食べたことを覚えています。ほんのり、まろやかで塩味も丁度良く美味しかったです。とにかく1年間で色々なものを作りましたね。他の実習では、和食では12月半ばの実習で栗きんとんと伊達巻を作り、中華では餃子とコーンスープ、勿論餃子は、皮から作りました。小麦粉からです。エビチリも勉強になりましたね。洋食はグラタン、オムレツ、ボロネーゼソース、ビーフストロガノフ、そして、ビッシュドノエルも作りましたね。1年はあっという間でした。実技試験は一発合格しましたが、学科の方が難しかったですね。食品衛生学と社会学が追試でした。それもかろうじてなんとかパスし、実技の試験は、和食はだし巻き卵、中華は餃子、洋食はオムレツでした。そして、就職活動へと事が動き、学校の図書室に行くと数の計り知れない求人票がファイル挟まってファイルが物凄い数あるのです。気に入ったその求人票をコピーし、自分で電話をかけ、緊張のあまり声を震わせ面接し合格に至り、すぐに来て欲しいと言われたので、急きょファミリーレストランを退職し、その渋谷のノルウェー料理レストランで働くようになったのです。その後、無事調理師学校も卒業でき社会人としてのスタートがこれから始まります。