5、平家さんとの出会い


前から気になっていたことがあった。住居者に『平家さん』という方が居て、もしかしたら、親戚ではないかと私が思っていたのです。ケアマネージャー(所長の奥さん)に幹雄:「平家さんは平家の人間の方ですか?」ケアマネージャ:「多分そうよ。」この後、平家さんの部屋へ行くのですが、話が盛り上がる予感はしておりました。幹雄:「平家さん!職員の平森です。体調は変わりないですか?今日は世間話をしに来ました。」 平家さん:「貴方は平森と言う名字だけど平家の人間なのかね?珍しい名字だが。」幹雄:「一応、家紋は揚羽蝶に丸で平家に属します。」 平家さん:「貴方は何処の出身だ?」 幹雄:「東京の品川区です。平森の親戚は元々品川区の地主が多くいまして・・・」 平家さん:「平森の平は平家の平、森は御神木の意味をするのではないかなぁ?そういう意味では、東の平家、平将門公の血筋が自然の流れではないかと思うのだが。」 幹雄:「平家さんは勿論平家である事は分かるのですが、何処の平家ですか?」 平家さん:「私のご先祖様は、平清盛公けん、貴方とは遠い親戚になる。」やっぱりそうだったのでした。東西の平家の世間話は、遠いながらも親戚と言う事で、平家さんの姿が誇らしく見え、私も人生という年輪をこれからも重ね、どっしりと構えられる人間になろうと少しばかり感じたひと時でした。