3、南フランス料理店


結局、横転事故の後、会社との人間関係がギスギスしてしまい、オマール海老屋さんはやめる事となりました。次はまた、厨房の仕事に就く事になり、人生の舞台は変わり代官山へと移ります。代官山は、ご存知の通り街全体が個人周りとしており、ファッションは皆バラバラにしながら一人一人が小綺麗でオシャレでまとまっている、僕は好きな街です。『小さなオシャレで自由な街』昔からよく散歩などしておりました。さて、南フランス料理屋さんのお店の大きさは、比較的小さく店の中にテーブルが4つ、テラスに2つ、満席にして20~25名様位の規模です。当時にして良く流行った、サーモンマリネや牛肉のカルパッチョ、エスカルゴ、じゃがいものガレットを始めとする各種前菜。ゴルゴンゾーラのフェットチーネ、ボロネーゼのパスタ、またそれに合ったホットワインやカクテル各種を中心に静かに賑わうお客様たちはお酒を楽しんでいましたね。手作りのデザートは家へ帰ってからのお楽しみとしてお土産として買っていくお客さんも結構いましたね。私はこの当時22歳であり、仕事のあり方、プライベートのあり方のバランスが今思えば不器用だったもんで、人には自慢できませんが、新人として仕事のネックであるコミュニケーション能力がゼロでしたね。完全に仕事オンリーのはっきり言って馬鹿な自分がいたのです。勿論仕事は教えてくれませんよね当然のごとく。しまいには、『その仕事俺がやるから君は(平森)はやらなくていいよ』と言われましたね。それ位みじめな自分がいたのです。今思えば右も左もわからずに粋がっていた単なるバカの塊に過ぎなかったのです。しかしですよ、こういうどろどろとした経験があるからこそ今役立っていることがあります。それは、ご存知の方は知ってますが、『鳴かぬならそれもまた良しホトトギス』そうです、松下幸之助先生の言葉、即ち、心と心の距離間です。人間追いかけると逃げたくなり、逃げると追いかけたくなるのです。では共にするとは?という10人十色が人間味というのではなかろうか?喧嘩をする、落ち着いてる、それは、心の距離が至近距離ですと喧嘩になり易いし、心の距離がある一定の距離を保っていれば落ち着いているに類するのではないだろうか?あと、過失という部分で心の距離を照らしてみましょう。仲の良い状態で心と心の距離が至近距離になると二人とも事が悪い方向に進んでいても、気付かないもしくは注意が出来ず破滅する。よくあるパターンですね。仲が良過ぎる、即ち、過失なのです。まあそんな具合で22歳の出来事があったからこそこの様に頭の中で整理する事が出来たのは感謝しております。22歳の馬鹿だった私を今この場を借りて申し訳なく思っております。ご迷惑おかけしました。